昭文社グループが保有する旅行ガイド情報や地図データ、ナビ機能などを活用した旅行ガイドサービスを提供している株式会社マップル・オンさまが、2012年2月より新たにスタートさせたスマートフォン向けサービス「マップルリンク」。そのコンテンツ配信のシステム基盤としてGMOクラウド Publicが採用されました。創業以来、紙媒体の出版物とディジタルなデバイスとの連携にチャレンジし続けている同社ですが、クラウドの導入は今回が始めてとのこと。その狙いや採用にいたる経緯などを、同社の取締役である大日方祐樹さまと、メディアサービス部部長の高橋祐亮さまにお聞きしました。
クラウド導入による効果
ご利用中のサービス
GMOクラウド Public パックシリーズ
業種
モバイル(携帯/スマートフォン)向けアプリ企画開発、販売事業
-まず御社の事業内容と、スマートフォン向けサービス『マップルリンク』について説明していただけますか。
大日方さま 「弊社は2006年に設立された株式会社昭文社の100%子会社で、昭文社発行のガイドブックに掲載されている情報を活用するためのモバイル端末向けアプリケーションの提供を行っています。従来はフィーチャーフォン向けのアプリが中心でしたが、2011年からはスマートフォン向けアプリの提供も始めており、単に観光情報を提供するだけでなく、GPSなどの機能を活用したツール的なアプリの提供にも力を入れています。そして、今年度から特に注力しているのが"出版物と連携したサービスの提供"です。スマートフォンの力を利用することで、出版物の価値をさらに高めることができるのではないか。そういう視点のもとにスタートしたのが『マップルリンク』になります。具体的には、『ことりっぷ』や『マップルマガジン』、『トラベルデイズ』といった昭文社の旅行ガイドブックに掲載されている情報がすべて入ったスマートフォン向けアプリを提供しています。出版物側に認証コードが掲載されており、購入者はそれを使って追加料金無しでアプリを利用することができます。情報はすべて端末にダウンロードされるので、インターネット接続が無くても利用できるという点が大きな特長になっています。」
高橋さま 「今回は、そのマップルリンクのアプリを提供するコンテンツサーバーの基盤として、GMOクラウド Publicを採用させていただきました。」
株式会社マップル・オン
取締役 大日方 祐樹さま
株式会社マップル・オン
メディアサービス部
部長 高橋 祐亮さま
-コンテンツサーバーにクラウド基盤を採用したのはなぜでしょうか?
高橋さま 「昭文社グループではデータセンターを契約しているので、弊社でもマップルリンク以外のサービスはデータセンターのサーバーを使って提供しています。ただマップルリンクの場合、ガイドブックの情報をすべて含めるので1コンテンツ辺りのデータ容量が100~200MBと比較的大きく、さらに対象とするガイドブックの種類が多いため発売するごとに必要なリソースがどんどん増えていくという特長があります。そのため、従来の仕組みだとハードウェアを計画的に増強していかなければならず、運用の負担が大きくなってしまいます。またダウンロード時の通信量が多いことから、他のサービスに影響するのではないかという心配もありました。それに加えて、雑誌の発売日やアプリの更新時にはアクセスが集中するので、そのときに一時的にリソースを増強できる仕組みも必要だと考えていました。このニーズを満たすのがまさにクラウドサービスだったわけです。」
大日方さま 「私たちが提供している情報は鮮度が命という側面がありますから、同じアプリでも次々と新しいバージョンを提供していかなければなりません。コンテンツは増えていく一方なので、それに対応できる基盤としてクラウドに対する期待がありました。」
-その中でGMOクラウドが選ばれた理由を教えていただけますか。
高橋さま 「一番の理由は、通信量に関わらず料金が定額だという点です。マップルリンクの場合1コンテンツあたりのデータ容量が大きいので、通信量は多くなりがちです。それに対して、他社のサービスではデータ転送量に応じて課金される料金体系になっているものが多く、コストが高くなってしまうという懸念があったのです。その点、GMOクラウド Publicはデータ転送量に対する追加料金がかからないという強みがありました。その他に、サーバー管理の操作をWebサイト上のコントロールパネルで完結できるという点も魅力に感じました。自社データセンターのサーバーの場合にはVPN接続できる環境でないと管理できなかったのですが、GMOクラウド PublicはSSH接続もコントロールパネルでできるので、場所を選ばずに管理できるというメリットがあります。」
-実際に運用してみて、効果は実感できましたか?
高橋さま 負荷に応じたリソースの増強が簡単に行えるという点は、今回実際に使ってみて強く実感できました。運用を始める前には、ダウンロードが途中で止まってしまうようなことがないか心配でしたが、その点もまったく問題なく使えています。2012年7月3日からは、『トラベルデイズ』という海外版のガイドブックにも対応したので、試しに海外に行ったときにダウンロードしてみたのですが、特に通信が遅いというようなことも感じませんでした。当初期待していた通りに使えているので、非常に満足しています。」
-最後に、今後の展望などを聞かせてください。
高橋さま 「マップルリンクのバックグラウンドにクラウドを採用したのは、今後に向けた実験的な側面もありました。GMOクラウド Publicを採用したことでその効果は十分に実感できたので、今後もまずは同様のダウンロード型コンテンツに積極的に利用していきたいと思います。またコンテンツサーバーとして以外にも、関連するサービスの中には負荷の見積もりが難しいものがあるので、そういう部分にはクラウドが適用できるだろうと考えています。」
大日方さま 「マップルリンクでは、出版物という物理的な媒体と、ディジタルなコンテンツを連携するという実績を作ることができました。今後はそれをさらに推し進めるとともに、ディジタルコンテンツから出版物へのスムーズな誘導ということにもチャレンジしていきたいと思っています。ディジタルにはディジタルの良さが、紙媒体には紙媒体の良さがあります。その両方をうまく組み合わせて、読者の方に対してより良い"行動支援"ができればと思います。もちろん、そのためにはコンテンツを支えるインフラの安定性も重要なので、その点でクラウドには大いに期待しています。」
-お忙しいところご協力ありがとうございました。
※本インタビューは、2012年に行いました。
会社名 | 株式会社マップル・オン |
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本社 | 〒102-0083 東京都千代田区麹町3-1 昭文社ビル 5F |
事業内容 | モバイル(携帯/スマートフォン)向けアプリ企画開発及びその販売事業 Web&モバイルの広告企画及びマーケティング事業 |
Webサイト | http://mapple-on.jp/ |
マップルリンク
「マップルリンク」は、昭文社が発行する「まっぷるマガジン」「ことりっぷ」等の出版物とお手持ちのAndroid/iPhoneをスマートに連動させるための「無料」アプリです。本誌掲載の「ガイド情報」や「街歩き用の地図」をそのまま取り込んで利用できます。旅のお伴に欠かせない、利便性に優れたアプリです。
海外向けマップルリンク
「海外版マップルリンク」は、昭文社発行の海外ガイドブック「トラベルデイズ」シリーズとお手持ちのAndroid/iPhoneをスマートに連動させるための無料アプリです。 本誌掲載の「基本情報」「街歩き用地図」、現地でいざという時に使える「旅の基本情報」をそのまま取り込んで利用できます。通信なしのオフラインでも活躍する頼もしいアプリです。
製品名および会社名は、それぞれの会社の商標または登録商標です。
※本インタビューは、2012年7月時点の情報です。