株式会社スマイルワークスさまは、2013年「第6回クラウドランキング」汎用業務系SaaS部門の【ベストサービス】に選定された、会計・販売・給与をまとめて管理できるSaaS/クラウド型統合業務システム『Clear Works』、既にいくつかのメディアで紹介された日産自動車さまが採用したWeb会議システム『NET FORUM』、企業向けセキュアデータストレージサービス『Secure Folder』等、SaaS型アプリケーションベンダーとして着実に事業を拡大しておられます。同社では、その基盤システムとしてGMOクラウド Publicを採用。今回は、同社の代表取締役である坂本恒之さまに、GMOクラウド Public採用の経緯や、クラウドベンダー評価のポイントについてお話を伺いました。
クラウド導入による効果
ご利用中のサービス
GMOクラウド Publicパックシリーズ
業種
SI・情報サービス/SaaS型アプリケーションベンダー
-はじめに、御社が提供しているSaaS/クラウド型統合業務システム『Clear Works』について説明していただけますか。
坂本さま 「『Clear Works』は、日常の仕訳入力から集計表出力、決算処理といった財務会計処理を行う「会計ワークス」、見積、受注、売上、請求、入金、仕入/在庫管理などを行う「販売ワークス」、給与・賞与計算、社会保険算定及び年末調整などを行う「給与ワークス」の3つの機能モジュールからなり、組み合わせてご利用いただくことで共通設定自動反映や自動仕訳連動など業務データ管理が非常に円滑で効率的な運用が可能で、しかもクラウドコンピューティングをプラットフォームとしたSaaS/クラウド型統合業務システムです。 インストール作業は不要でインターネットに接続すれば、ブラウザからすぐに利用することができ、複数拠点の業務管理を簡単、低価格で実現できます。」
株式会社スマイルワークス
代表取締役社長 坂本 恒之さま
-その基盤としてGMOクラウド Publicが採用された経緯を教えてください。
坂本さま 「実は、GMOクラウドのハウジングとホスティングサービスは以前から利用していました。そしてGMOクラウド Publicのサービスを開始したと連絡を受けて、他社のクラウドの一部をGMOクラウド Publicに移行することにしました。現在では、GMOクラウドを含め、4社のクラウドベンダーと契約しています。」
「4社にしている目的は2つあります。その1つはリスク分散。クラウドベンダーであっても、システムダウンする可能性はゼロではありません。そのようなクライシスに備えて、お互いにバックアップが取れるようにしています。ベンダーのサービスでディザスタリカバリというものもありますが、統合業務システムのダウンはユーザにも重大な影響を与えます。4社相互バックアップはそのリスクヘッジです。その一角がGMOクラウドです。もう1つの理由は、クラウド技術がものすごい勢いで進化しています。さらに価格もベンダー各社が頑張って安くしてくれています。弊社としては、適時最適なクラウド基盤で最適なサービスを受けることができるようにしたい。そのためには、有力なプラットフォームベンダーと契約してバックアップすると同時に、よりいいクラウド基盤があればそれを検証して採用することにしています。4社にしていれば、乗り換えることも比較的容易にできるわけです。」
-GMOクラウド Publicについてはどのように評価されていますか?
坂本さま 「クラウドコンピューティングにも広義と狭義があると思いますが、Publicクラウドこそがクラウドコンピューティングのメリットを最大限発揮できるのではないでしょうか? Privateクラウドというものもありますが、これは仮想技術を使ったSIでしかない。全て自社の範疇になりますが、全て自社の資産。それでは効率化は図れないですよね。Publicクラウドであれば広くコモディティ化、ユーティリティ化できるので、効率化が図れたビジネスモデルが成立するし、メリットも享受できる。クラウドコンピューティングは、広義にはPrivateも含めていますが、Privateクラウドは仮想技術、VMを使って、なんとなくクラウドらしくしたものでしかないように思います。Amazon EC2やGoogle Compute Engineと同じ様に、広く共有できて、動的にいつでもどこでも必要な時に必要な分を使うことができるというクラウド基盤が本来の意味でのクラウドコンピューティング。だから私は、Publicクラウドどうですかというよりも、クラウドってそういうものでしょうという話をしたいですね。」
「弊社では、コントロールパネルを通じて、リソースの調整を常にしています。例えば、年末調整は年末しかやらないから、その時は非常にアクセスが多くなるのでリソースを上げておくようにします。決算期も同様ですね。また、ユーザ専用のカスタマイズアプリケーションを、別のVMを立ち上げて連携させるといった対応もしています。さらに、ユーザの要望に応じて、もっとスピードが欲しいということになれば、リソースを上げるというようなことも可能です。」
-クラウドベンダーを評価されるポイントをお教えください。
坂本さま 「クラウドベンダー各社もサービスという点ではほぼ同じですね。CPUのリソースやメモリー、ハードディスクの容量など、スペックに多少の差はあっても、コントロールパネルから自由に調整できるから、あまりこの点は評価のポイントにはならない。ところが、Disk I/Oのスピードはコントロールができないんですよ。実際にいくつかのクラウド基盤を検証してみると、ハードの構成や運用方針によって、ばらつきがあることがわかりました。弊社の統合業務システムは、Disk I/Oが多いアプリケーション、データベースに書き込んだり読み込んだりすることが非常に多いんですね。一方で、弊社が提供している「Web会議システム」は、Disk I/OよりもCPUやメモリーの方のリソースを確保することが重要なアプリケーションですが、コントロールパネルからCPUは4Coreや8Coreに上げることもできるし、メモリーも4GBから8GBへの増設が可能ですから、このような場合には、あまりシステム的に評価が分かれるポイントはないように思いますね。でも先程申し上げたようにDisk I/Oだけはコントロールできないので、これは実際に使ってみて評価するしかないのです。4社と契約していているのもJリーグと一緒で入れ替え戦を意識しているからです。その中でGMOクラウドはJ1に入っています。TOP4グループの1社として非常に満足したDisk I/Oをキープしています。」
『Clear Works』トップ画面
-最後に、今後の展望などありましたら教えてください。
坂本さま 「弊社がクラウド環境でサービスを開始して5年間経ちましたが、今のところ障害停止ゼロ秒です。これはクラウドベンダー各社のおかげなのですが、クライシスは結構ありました。Disk I/Oが遅くなったとか、アクセスが遅くなったとか、パフォーマンスが急に落ちるとかいうことがある。その時、弊社から問い合わせをした時に、クラウドベンダーがどのような対応をするかで大きく評価が分かれてきます。「わかりました。すぐに調べます」といって「ここのネットワークセグメントで他のベンダーさんが大量のバックアップを取っていたことが理由です」とか「二重化したDisk I/OのiSCSIのペアが1個壊れていました。すぐに切り替えます」とか対応されるのが普通なのですが「おかしいですね。ウチの責任ではないと思います」とか、全くレスポンスがない、といった対応になった場合は、即時に「このベンダー、やめようかな」という決断をすることになります。GMOクラウドは、この点でもきちんとした対応をしてくれています。」
「最後に、クラウドロックインされないようにすることも大切だと思います。今までは、特定のベンダーにロックインされないようにしなくてはいけないということで、オープン化が進行してきました。それがクラウドコンピューティングになって、アメリカではオープンスタックやオープンフローとか、オープンソースベースのクラウド基盤というものが非常に活況を呈しています。さらに、GMOクラウドをはじめとした日本のクラウドベンダーがKVM(Kernel-based Virtual Machine) 等の仮想化技術を活用したオープンテクノロジーによるクラウド基盤を進めています。しかし、一部のクラウドベンダーでは、囲い込みのためにAPI等を提供し、それに準拠したアプリケーションを優遇するような動きもあります。しかし、これだと何かクライシスが発生しても乗り換えることができなくなる。これがクラウドロックインされるということなのです。クラウドロックインされないためにも、中立性のあるアプリケーションやシステムを作っていかなくてはいけないと思います。そのことがよりよいクラウド基盤への乗り換えを可能とし、ユーザへのコミットメントにもつながるからです。」
-お忙しいところご協力ありがとうございました。
※本インタビューは、2012年に行いました。
システム構成図
会社名 | 株式会社スマイルワークス |
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本社 | 〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-19 |
事業内容 | サービス事業向けの情報システム及びサービスの提供 ・事業企画開発・プロジェクトマネジメントサービス ・EC・CRMなどセールス&マーケティングシステム ・システム開発・運用サービス |
Webサイト | http://www.smile-works.co.jp |
SaaS/クラウド型の統合業務システム「ClearWorks」
「ClearWorks」は、日常の仕訳入力から集計表出力、決算処理といった財務会計処理を行う「会計ワークス」、見積、受注、売上、請求、入金、仕入/在庫管理などを行う「販売ワークス」、給与・賞与計算、社会保険算定及び年末調整などを行う「給与ワークス」の3つの機能モジュールからなり、組み合わせてご利用いただくことで共通設定自動反映や自動仕訳連動など業務データ管理が非常に円滑で効率的な運用が可能な統合型業務システムソリューションです。
スマイルワークスさまの『ClearWorks』が、日経BP社のIT系総合メディア「日経コンピュータ」と「ITPro」が共同で主催する「第6回クラウドランキング」において、『汎用業務系SaaS部門』のベストサービスに選出されました。
※製品名および会社名は、それぞれの会社の商標または登録商標です。
※本インタビューは、2012年12月時点の情報です。